初心者カップルのためのソフトSM講座 縛られて結ばれて「初めてはSMショー」
まだスマホも存在せず、インターネットも今ほど一般に使われていなかった時代、多くの人々が経験するエロとのファーストコンタクトは、主に雑誌や漫画、本といった紙のメディアを通してでした。
昭和の頃は、今と比べてゾーニングという概念も薄く、ティーン向けの雑誌にもセックス特集や読者のエロ体験談が掲載されていましたし、テレビでは、ゴールデンタイムであっても、女性の裸を見ることができて、性に対してずっとおおらか……というと都合のいい回顧主義者のようですが、良くも悪くも性的なものが「見よう」と意識しなくても、否応なしに目に入ってきた時代でした。
しかし、そんな時代に於いても、SM的なものは、一般的なエロからは少し距離を置かれていたように思います。むろん、SMに特化した専門誌などはすでに発売されていたことは確かですが、それらは「変態趣味」として、隠されるべきものだったと思います。
少なくとも、わたしの通っていた小学校の、通学路の途中にある「エロ本がよく落ちている空地」では、一度も見かけることがありませんでした……いや、そこをエロ本捨て場にしていた主に、SM趣味がなかったというだけのことかもしれません。とにもかくにも、幼い頃に、その後の性的嗜好を左右するような、ショッキングなSM趣味との遭遇はなかったと断言できます。
その出会いはむしろ遅く、21歳の頃だったと思います。村上龍さんの書いた小説がキッカケでした。そう、氏の名作(だとわたしはあくまでも主張します)の『トパーズ』です。
『トパーズ』は風俗嬢を主人公とした短編小説で、マゾヒズムとサディズム、そしてアブノーマルな性愛を描き、当時、大ベストセラーとなった作品です。物語に登場する、東京という都市で生きるヒロインたちの精神的な危さも含めて魅力的で、この本を読んだわたしは、多大な影響を受けたことを今でも覚えています……ようするに、ボンデージ的なフェティッシュなコスチュームに身を包んで高級ホテルでいやらしいことをしてみたいっ!
さて、ショックを受けたわたしがどうしたか。まずはそのSMとやらを実際に自分の目で見てみたいと考えました。が、いきなりSMクラブで働くのは、さすがにちょっと怖い。変態のお客さんにあれやこれやされるだなんて、心の準備が出来ません。
じゃあ、どうしたらいいのかと悩んでいたところ、ネットを通して知り合った、同じ年の村上龍のファンの男のコに「今度、渋谷のクラブでSMショーがあるらしいから、観に行ってみない?」と誘われたのでした。
渡りに船のばかりにふたつ返事でオーケーをしたわたしは、そのイベントに友人とともに足を運びました。SMショーが行われるといっても、イベント自体はハードコアテクノの掛かる普通のダンスイベントで、ステージ上で行われる男性縄師とM女性によるSMショーもまた、激しい音楽とフェティッシュでおしゃれなコスチュームが特徴的でした。
縄や鞭、蝋燭など、SMの定番グッズも使われたとはいえ、グロさもない。むしろ「カッコイイ!」と素直に感激を憶えたわたしは、ショーが終わった後、SMショーに出ていた縄師の男性が、会場を歩いているのを見つけ、声をかけたのです。「ちょー感動しました」と。
アホっぽい感想を言うわたしに、その縄師の方――ミラ狂美さんは「興味を持ったなら、また遊びにきてよ」と、とあるバーで行われるイベントの告知のフライヤーを渡してくれました。ついでに連絡先も交換しました。いわゆる逆ナンです(笑)。
その一週間後、わたしはフライヤーを貰ったイベントに、今度はひとりで足を運びました。会場は、渋谷にある「なのはな」というバーです。バーというところに一人で入るのも初めてだったので、ものすごく緊張しましたし、中に入ると、背の高くて刺青だらけの女性がいて、これまたビビりました。
女性は、「なのはな」のママさんでもあり、現在も東京のアダルト界でご活躍中の月花さんだったのですが、もちろんド素人のわたしはそんなことは知る由もなく、ただ、狭いバーの客席に、前回のSMショーでフライヤーをくれたミラ狂美さんの姿を発見し、ほっとして「遊びに来ました!」と声をかけたところ、「今日のチャージは3,500円なんだけど、縛られたらタダだよ」という予想外の返事が返ってきたのです。
貧乏な女子大生にとって3,500円は大金です……というのは言い訳で、本当はものすごく興味がありました。縛ったり鞭で叩かれたら、どうなってしまうんだろう。しかも今日はひとりで来ているので、わたしを知っている人は誰ひとりいません。
そもそも普段は池袋でばっかり遊んでいるわたしにとって渋谷はアウェー。旅の恥はかき捨て。というわけで、その場で「ぜひ、お願いします」と頼み、その日、わたしは初めてのSMを経験するとともに、SMショーのM女としてデビューすることになったのでした。
付属品 | アイマスク・玉猿轡・首輪(リード付き)・乳首枷・手枷・足枷・枷連結具・バラ鞭・拘束ロープ(10m)・フェザー |
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